クレンチング症候群とは、クレンチング(食いしばり)やTCH(歯列接触癖=上下の歯を接触させる癖)が習慣化して起こるさまざまなトラブルのこと。
その主な症状は、いったいどのようなものなのでしょうか。
症状① 肩や首の凝り
クレンチングやTCHで顎関節に圧力がかかると、噛むための筋肉「咬筋(こうきん)」が疲労し、それを補おうとして首から胸や肩にかけての筋肉が緊張して、肩や首の凝りを生じやすくなります。
長時間パソコンや携帯の画面を見つめていると肩凝りになりやすいのも、眼精疲労ばかりでなく、無意識のうちに歯を食いしばっているのが原因ではないかと言われています。
症状② 顎関節症
口が大きく開かなかったり、口の開閉時にカクカクと音がしたり、痛みを感じることはありませんか?これは、顎関節に負担がかかり、顎関節のクッションである「関節円盤」がズレたり、炎症を起したりして起こるトラブルで、噛み合わせの悪さも大きな原因のひとつです。
たいていの場合、安静にしていれば時間の経過とともに改善されますが、ストレスやかみ合わせの悪さが原因の場合、何度も繰り返しやすいことが多いようです。
症状③ 知覚過敏
知覚過敏は、歯の表面部分のエナメル質が傷つき、象牙質が露出して、歯の内部にある神経組織が刺激されることによって起こる「冷たいものがしみる」「ズキンとする」といった症状のこと。
正しく歯磨きをしていて、特に虫歯がなくても、知覚過敏になる人も多いことから、ストレスによるクレンチングやTCHが、現代人の知覚過敏のもっとも大きな原因と考えられています。
症状④ 歯の欠け・亀裂・折れ
クレンチングによる圧力が集中する部分ほど、歯が欠けたり、亀裂を生じやすくなります。また、治療による詰め物や冠(かぶせ物)も取れやすくなったり、歯が折れててしまう場合もあります。
症状⑤ 歯のグラグラ・歯周病・口臭
歯を支える骨に圧力がかかって、歯がグラグラしてくる場合もあります。すると歯周病ポケットが次第に深くなり、歯周病に発展しやすくなります。
また、顎関節や噛むための筋肉「咬筋(こうきん)」などに圧力がかかって口内の血流が悪くなると、口内の免疫力も低下して、さらに歯周病菌などの悪玉菌が増殖しやすくなります。
「クレンチング症候群チェック」で2つ以上チェックがついた人は、上記のような症状に注意が必要です。
何かとめまぐるしい毎日の中、私たちはさまざまなストレスにさらされています。
みなさんも無意識のうちに、歯を食いしばったり、上下の歯を合わせっぱなしにしていませんか??
次回は「クレンチング症候群の予防」についてご紹介します。